vMotion の歴史 (1) – 概要
vmworld 2015 US の中でも感慨深いセッションがあったので、その内容について自分なりに調べ直してみます。
その感慨深いセッションは
INF4936 Insight Into vSphere 6 vMotion: Architecture, Features, Performance and Debugging
です。
vMotion といえば VMware のハイパーバイザーを世に知らしめ、サーバーインフラの常識を変えた Ultra-Technology だったと思います。Windows や Linux の電源を落とさずに vMotion で物理サーバーから仮想マシンを追い出すことで、その物理サーバーのファームウェアアップデートや NIC 障害などのメンテナンスに対応できるようになりました。あるいは、CPU やメモリの負荷に応じて vMotion させることで、マルチコア環境でのプロセス スケジューリングの様に 複数の物理サーバーをまたいだ負荷調整を行うことで、必要な物理サーバーの数を減らすこともできました。そして、今なお着実に機能を追加し進化しています。
このセッションは、その vMotion の歴史を紐解き、vSphere 6.0 での新機能、デバッグ方法、最後にパフォーマンスに言及していました。
ただ、vMotion の歴史が余りにあっさりしていたので、自分の記憶や古い Release Notes を紐解いて時系列に並べてみました。
vMotion の歴史年表
Year | VC version | Feature |
---|---|---|
2003 (*1) | 1.0 | vMotion introduced |
2004 | 1.2 | RDM support |
2006 | 2.0 | Distributed Resource Scheduler (DRS) |
2006 | 2.0.1 | Upgrade vMotion (*2) |
2007 | 2.5 | Distributed Power Management (DPM) |
2007 | 2.5 | Storage vMotion (CLI) |
2008 | 2.5U2 | Enhanced vMotion Compatibility (EVC) (*3) |
2009 | 4.0 | Storage vMotion (GUI) |
2009 | 4.0 | VMDirectPath support |
2009 | 4.0 | Network vMotion |
2010 | 4.1 | Network I/O Control |
2010 | 4.1 | Performance Improvement (4 -> 8 concurrent) |
2011 | 5.0 | Metro vMotion (<= 10ms) |
2011 | 5.0 | Storage vMotion (Snapshot support) |
2011 | 5.0 | Storage vMotion (mirrored I/O) |
2011 | 5.0 | Multi NIC vMotion |
2011 | 5.0 | Stun During Page Send (SDPS) |
2011 | 5.0 | Storage DRS |
2012 | 5.1 | non-shared datastore vMotion (X-vMotion) |
2013 | 5.5 | VPLEX Metro |
2013 | 5.5 | IPv6 improvement |
2015 | 6.0 | vMotion across virtual switches |
2015 | 6.0 | vMotion across vCenter Servers |
2015 | 6.0 | vMotion across L3 |
2015 | 6.0 | Long Distance vMotion <150ms |
2015 | 6.0 | Replication-assisted vMotion |
???? | TP | vMotion across clouds |
???? | Research | vMotion with RDMA |
(*1) 1.0.0 は 2003/12 にリリースしていたため 2004 から 2003 に修正。 (2015/09/24)
(*2) Upgrade vMotion を追加。 (2015/09/24)
(*3) EVC は VC2.5U2 で追加されていたため修正。 (2015/09/25)
10 年以上も歴史を刻んでいるだけあって、本当に様々な機能が追加されているのが分かります。vSphere 5.5 の時代が地味なのと、いくつか黒歴史っぽい機能もありますが、次回以降でそれぞれの機能を振り返ってみます。