VMware Cloud on AWS – SDDC Version 1.4
What’s new in SDDC 1.4
AWS Summit Berlin にて、VMware Cloud on AWS の 2018 June リリース、すなわち SDDC 1.4 がアナウンスされました。このリリースでもいくつか重要なアップデートがありました。アップデート内容はこのリリースノートで確認できます。ではアップデートの内容を見ていきましょう。
- フランクフルト リージョンで利用可能に
- 各種コンプライアンス認証、監査証明の取得
- シングル ホスト SDDC
- マルチ アベイラビリティー ゾーンのストレッチ クラスター
- マルチ クラスター サポート (Preview)
- トラブルシューティング タブ
- vCenter Cloud Gateway
- VMware Horizon 7 対応
- セキュリティと監査のログを VMware Log Intelligence に転送
- VMware Cloud on AWS の Sizer ツールと TCO ツール
- Developer Center の拡充
- VMware Site Recovery 機能拡張
- フランクフルト リージョン対応
- ファン アウト (Fan-out) 型のマルチ サイトのトポロジーをサポート
- レプリケーション シーディング
- vCenter Server バージョンに対する後方互換性
- VMware Hybrid Cloud Extension 機能拡張
- フランクフルト リージョン対応
- マルチ AZ ストレッチ クラスター対応
- マルチ クラスター対応 (Preview)
- オンプレミスの vSphere 互換性の更新
- HCX のバックアップとリストア
- HCX Management Pack for vRealize Operations
VMware のサービスを AWS のイベントで発表するという感慨深いものでしたが、一番の驚きは AWS Summit の多さでしょうか。AWS HQ の Event Marketing の方は 1 年中 Summit/re:Invent の準備で追われてしまいそうです。
では、それぞれの項目を簡単に紹介していきます。
フランクフルト リージョンで利用可能に
ロンドン リージョンに続いて、ヨーロッパ圏で 2 つ目のリージョンとしてフランクフルト リージョンが VMware Cloud on AWS で利用可能になります。ロンドン リージョンに引き続きヨーロッパのリージョンが利用可能になったわけですが、Brexit 後を見据えると EU の大陸側にも必要だったのでしょう。
各種コンプライアンス認証、監査証明の取得
EU で GDPR が施行されるタイミングで、VMware Cloud on AWS は数多くの認証、監査証明を取得しました。AWS 自体はすでに数多くのコンプライアンスに対応済みですが、VMware Cloud on AWS は ベアメタル EC2 上に VMware のソフトウェアを被せることになるため、その部分に対してのコンプライアンス認証の取得が必要になります。今回以下のコンプライアンスを取得しました。
- ISO 27001, 27017, 27018
- SOC 1 Type 1, SOC 2 Type 1, SOC 3
- GDPR
- HIPAA BAA
なお CSA は SDDC 1.4 以前から取得されていました。
シングル ホスト SDDC
あくまで評価目的での利用に限定されますが、1 ノードで SDDC を作成できるようになりました。これまでは “最小 4 ノードから” という制限があり、評価を行うにも期間が長くなると予算の確保が難しかったところがあったと思われます。これが 1 ノードで 1/4 となり、SLA が定義されないことによって $8.3/hour/host という価格が $7/hour/host となります。いまならキャンペーン価格で $5.6/hour/host です (以上北米リージョンの価格)。ぐっと身近になったのではないかと思います。
マルチ アベイラビリティー ゾーンのストレッチ クラスター
Preview だったマルチ AZ のストレッチ クラスターが GA となりました。最小ホスト数は 6 ノードからとなり、増設の単位は 2 ホスト単位 (各 AZ に 1 ホストずつ) となります。このマルチ AZ のストレッチ クラスターにより、仮想マシンの中身を一切弄らずにマルチ AZ 対応の可用性をインフラレベルで実現することができます。既存業務アプリケーションのマルチ AZ 化に悩まれていた方には朗報だと思います。
マルチ クラスター サポート (Preview)
現在、SDDC は 1 クラスターのみをサポートしています。これを最大 10 クラスターまでサポートする機能になります。3 月の SDDC 1.3 から既に Preview だったのですが、今回のリリースでは GA は見送られ Preview のままとなります。
トラブルシューティング タブ
VMware Cloud on AWS をオンプレミス環境と繋いで連携させる時に問題に遭遇した場合、基本的なネットワークの疎通や名前解決などを確認したくなることがあります。しかし、SDDC の Management Network にあるコンポーネントにはユーザーは一切ログインできないため、ping/traceroute/arp/dig/nmap/tcpdump などのコマンドを使ったトラブルシュートを全く行えません。このトラブルシューティング タブでは、各機能で必要とされる要件を GUI で自動的にそれぞれ確認してくれます。
3 ヶ月前に欲しかった…。
vCenter Cloud Gateway
vCenter Cloud Gateway はオンプレミス環境にデプロイされる仮想アプライアンスで、Hybrid Linked Mode (HLM) をより使いやすくしてくれます。これまでは HLM を構成しても VMware Cloud on AWS 側の vCenter にログインしないと、クラウドとオンプレミスの単一画面での一元管理は行えませんでした。vCenter Cloud Gateway により、オンプレミス側の vCenter にログインしても、クラウドとオンプレミスの単一画面での一元管理を可能としました。
本機能でもっとも嬉しいのは、Hybrid Linked Mode のために、VMware Cloud on AWS 側の vCenter の Identity Source にオンプレミス側の Active Directory を設定する必要がなくなったことかも知れません。
VMware Horizon 7 対応
VMware Cloud on AWS で Horizon 7 がサポートされました。細かいバージョンで言えば Horizon 7.5 からのサポートとなります。Cloud Pod Architecture をサポートし、VDI キャパシティのバースト対応に VMware Cloud on AWS のリソースを利用することができるようになりました。
Site Recovery や Hybrid Cloud Extension とは異なり、各 Horizon 7 のコンポーネントはユーザーが管理することになります。つまり Connection Server の Windows VM の準備や Connection Server のインストールなどはユーザーが行います。
セキュリティと監査のログを VMware Log Intelligence に転送
SDDC のセキュリティと監査ログを VMware Log Intelligence で確認できるようになります。
VMware Cloud on AWS の Sizer ツールと TCO ツール
Sizer ツールと TCO ツールがリリースされました。これにより、VMware Cloud on AWS の必要なリソースの簡易的な見積もりや、効果予測を気軽に検討することができるようになります。
Developer Center の拡充
Developer Center サンプル
Developer Center のサンプルコードを参照する際に便利なフィルターやタグ機能が追加されました。
Developer Center API Explorer
API Explorer を使う際に、ID の補完、実行前の確認、JSON のコピーなど便利な機能が追加されました。
Software Development Kits (SDKs)
vSphere Automation SDK for REST/Java/Python が SDDC 1.4 に対応しました。
VMware Site Recovery 機能拡張
SDDC 1.4 に合わせて VMware Site Recovery も機能拡張がなされています。4 月に vSphere 6.7 と同時にリリースされた Site Recover Manager 8.1 を
フランクフルト リージョン対応
フランクフルト リージョンでも VMware Site Recovery に対応しました。
ファン アウト (Fan-out) 型のマルチ サイトのトポロジーをサポート
一箇所のデータセンターから複数のデータセンターへ災害復旧を可能にする Fan-out 型のトポロジーに対応しました。災害復旧先のデータセンターの一つとして VMware Cloud on AWS を選択できるようになりました。
レプリケーション シーディング
以前にレプリケーションしたことがある VM であれば、そのレプリケーション済みの仮想ディスクのデータをシードとしてレプリケーションをやり直すことができます。これにより、その場合には全データを再度初期同期する必要がなくなりより短時間で初期同期を完了させることができます。
vCenter Server バージョンに対する後方互換性
VMware Site Recovery が対応するオンプレミスのバージョンの後方互換性を緩和しています。このバージョンでは vCenter の 6.7, 6.5, 6.0U3 をサポートします。
VMware Hybrid Cloud Extension 機能拡張
VMware Hybrid Cloud Extension も同様に機能拡張がなされました。
フランクフルト リージョン対応
フランクフルト リージョンでも VMware Hybrid Cloud Extension に対応しました。
マルチ AZ ストレッチ クラスター対応
SDDC 1.4 でマルチ AZ ストレッチ クラスターが正式サポートになったのを受け、VMware Hybrid Cloud Extension もこれに対応しました。
マルチ クラスター対応 (Preview)
マルチ クラスターは未だに SDDC としては Preview ですが、このバージョンで VMware Hybrid Cloud Extension として Preview となりました。
マルチ クラスターは、簡単なように見えて結構複雑になってきます。クラスターは、シングル AZ なのかマルチ AZ なのか?クラスターは、AZ-a にあるのか AZ-b にあるのか?どのクラスターに vCenter Server や NSX Manager がいるのか?などなど、AWS において気軽に複数の AZ を使えるが故に、これまでオンプレミスでは考える必要がなかった考慮点が様々でてきます。個人的にはマルチクラスターは非常に使い勝手の良い機能として期待しており、正座して正式サポートを待ちたいところです。
オンプレミスの vSphere 互換性の更新
SDDC 1.3 と今回の SDDC 1.4 の間で vSphere 6.7 がリリースされました。今回のリリースで vSphere 6.7 にいち早く対応してきました。
HCX のバックアップとリストア
オンプレミス側の HCX アプライアンスの管理画面で、オンプレミス側の HCX アプライアンスの構成を tar.gz 形式でバックアップし、これをリストアできます。
HCX Management Pack for vRealize Operations
vRealize Operations の HCX 用 Management Pack になります。これにより移行や L2 延伸したネットワークをモニタリングすることができます。