KDDI による Soracom 子会社化に思うこと
既報にあるようにソラコムが KDDI の子会社となることになりました。従業員 40 名程度の会社を 200 億円で子会社化となるので、それ相応に力の入った取引だったのだと思われます。
株式会社ソラコムの子会社化について ~グローバルにも通じる「日本発」のIoTプラットフォーム構築へ~
これに関連する報道を本日朝に見かけた際 頭に思い浮かんだのは、2012 年の VMware による Nicira の買収です。
会社 | Nicira | Soracom |
---|---|---|
CEO | Martin Casado | 玉川 憲 |
親会社 | VMware | KDDI |
従業員数 | 100名弱 | 40名程度 |
買収額 | 1.26B$ (当時 1,000 億円弱) | 200 億円 |
そして Soracom のプレスリリースを見るに、Martin と同じ葛藤を玉川氏も感じていたのではないかと拝察するのです。
「OpenFlowの父」が振り返る、Niciraでの苦悩とヴイエムウェアに買収された理由 (1/3)
同時に、「数十億ドルレベルの事業にまで拡大できる」と当時考えていたのを覚えています。ビジネスをこうした規模に拡大しようとするときの問題は、Niciraの技術が、Amazon Web Servicesにも、Microsoft Azureにも、VMware ESXにも、ひも付いていないことでした。これら3つのいずれかと結び付いていないままでは、大きな市場にアクセスできません。そのため、(ヴイエムウェアから)買収のオファーを受けたときに興味を持ちました。VMware ESXはエンタープライズ市場の8割を握っています。これにアクセスできなければ、(当時Open vSwitchで対応していた)オープンソース市場しか相手にできないままだったでしょう。これは、(ヴイエムウェアに比べて)はるかに規模の小さい市場です。
Martin の回顧と以下のブログの内容が被って見えて仕方ありません。
一方で、私、玉川をはじめ、共同創業者である船渡、安川は、今回のアナウンスは、Exit(注)というより、むしろ、これまで単独では届かなかった領域に道を拓くEntranceだと考えており、さらなるチャレンジに対して身が引き締まるとともに、これからの冒険にワクワクしています。
以下、勝手な個人的な予想と希望と期待になります。
- KDDI グループと一員になったからこそ出来る案件が、徐々に明らかになる
- 数年は現行メンバーが残り、サービスの開発、コミュニティ拡大、海外対応、大規模顧客対応に励む
- ? 年後、事業を軌道に乗せた後、創業者達は新たなチャレンジを求め独立
- Andreessen Horowitz ならぬ玉川・安川インベストメントを設立し、日本に限らず APAC/US/EMEA のテクノロジー ベンチャーに投資
Soracom の更なる発展を祈念いたします。
子会社化の道を検討する際に、KDDI だけでなく他の企業も候補に挙がったのだと思います。NTT DoCoMo、Softbank、あるいは日本企業であるが故に可能性は低くなりますが海外のキャリアなど。MVMO の回線を最初に引いた NTT DoCoMo ではなく KDDI に決まった経緯など 3 年後くらいにインタビュー記事などで聞けると良いなと思う次第です。