Linkedin を使って新興企業の製品の素性を探る
ソフトウェア/ハードウェアに関係なく IT 関連の新興企業はひっきりなしに勃興しています。大抵は外野からその勃興を眺めることになりますが、時によってはその新興企業のスジの善し悪しを見極める機会に遭遇することもあります。
新興企業の技術はそれほど情報が多く公開されていません。ステルスモードであれば尚更です。しかしながら、その新興企業に所属している人の経歴から、ある程度のスジの善し悪しを把握できます。新興企業は勃興しますが、人は流動するするためです。この新興企業の勃興と人の流れは Linkedin を使うことで、粗々に雰囲気を感じることが出来ます。
Linkedin による Advanced Search
Linkedin に登録している人は、コレまでの経歴/所属企業を大抵記録しています。Linkedin のサーチ機能を使えば、任意の企業に所属しているメンバーが、以前どの企業に所属していたのかを確認することができます。
- Linkedin ログイン後に、サーチバー右側にある “Advanced” というリンクをクリックします。
- Advanced People Search ダイアログの右上にある “Close” をクリック
- “Current Company” の “Add” をクリックして、素性を調べたい企業を入力
- 上記で入力した企業のチェックボックスをオンにする
- “Relationship” の “All” をクリック
- “Past Campany” をクリックして一覧を表示する
これで、その新興企業に所属している人が昔所属していた企業の Top 5 と人数を確認することができます。Past Company のチェックボックスをチェックすると、在籍している人が一覧としてフィルターされます。思い当たる企業がリストされていなければ、“Past Company” の “Add” から追加することもできます。
Docker を例に検索してみる
では、Docker を例にして検索してみます。
- Corrent Company: Docker, Inc.
- Relationship: All
とすると、まず Docker Inc. の現社員で Linkedin を使っているユーザーが 294 人いることが分かります。そして、過去に所属していた企業を調べるために Past Company をクリックします。
- VMware (22)
- Red Hat (17)
- Cisco (16)
- Sun Microsystems (12)
- IBM (5)
と出てきて元 VMware が最も多いことが分かります。そして、VMware のチェックボックスをオンにしてみると、その 22 人は Partner Alliance、Product Marketing、Product Management、Software Engineer など多岐渡っていることが分かります。これらの役職は悉く R&D の機能であることもあり、良い人材を Docker Inc. は集めているのではないかと予想できます。
注意すべきパターン
この方法で簡単に元 XX が多い、ということは分かるのですが、人数だけで判断するのは早計です。場合によっては Sales/Systems Engineer や Sales だらけで、R&D 関連の人材がほとんどいないケースもあります。Sales/Systems Engineer は営業活動をしているのであって、製品開発には関わっていません。よって、製品の素性の善し悪しを計る参考とするにはパンチが余りに弱すぎます。
サンプル
- SolidFire: NetApp に買収されてしまっていますが、Hewlett-Packard Enterprise や Lefthand Networks の元社員が多いのが分かります。SolidFire の HQ も Lefthand Networks の HQ もコロラド ボールダーなので、さもありなんという感じでしょうか。
- Mesosphere: Docker と並びコンテナ業界で注目されていますが、VMware や Google 出身者が 18, 10 人と多めになっています。旧 VMware のメンバーは Sales や Solution Architect など営業よりなロールが多いですが、Google は Funder 含め、ガチエンジニア勢が大半を占めていました。
まとめ
- 新興企業の製品の素性を調べるのに Linkedin の検索機能はある程度の示唆を提示してくれる。
- 社員の数だけではなく、Role まで確認すること。Sales や Sales Engineer/Systems Engineer は製品開発には関わっていない。
- それなりに暇つぶしになってしまうので、やり過ぎに注意。
- ある程度、その会社の買収先候補も見えてきたりもする。