前回のエントリでは vCenter Server 5.0 までの vMotion の歴史を機能を元に振り返りました。今回は vCenter Server 5.1 ~ 5.5 の vMotion の歴史を振り返ります。

vMotion の歴史 (1) – 概要
vMotion の歴史 (2) – VirtualCenter 1.0 ~ 2.5
vMotion の歴史 (3) – vCenter Server 4.0 ~ 4.1
vMotion の歴史 (4) – vCenter Server 5.0
vMotion の歴史 (5) – vCenter Server 5.1 ~ 5.5 <= このエントリ
vMotion の歴史 (6) – vCenter Server 6.0 ~ Technology Preview

non-shared datastore vMotion (X-vMotion) - 5.1 - 2012

What’s New in VMware vSphere 5.1 (PDF)

vSphere 5.1 では vMotion に追加された機能の数は少ないモノの、共有ディスクなしの vMotion がサポートされるようになりました。呼び方は Cross-vMotion、X-vMotion (いずれも読み方はクロス ヴイモーション) などリリースされるまでに混乱がありましたが、最終的にはただの vMotion に落ち着きました。しかし、リリース前の呼び名である X-vMotion が一般的になってしまったかも知れません。

X-vMotion では、通常の vMotion と同時に Storage vMotion も同時に行ってしまいます。これにより vMotion を実行するために共有ディスクが不要になりました。ローカルディスクだけの環境で利用されているケースもありますが、もちろんこの状態では vSphere HA は効きませんので X-vMotion は物理サーバーのファームウェアアップデートなどのメンテナンス時の一時退避に用いられることになります。

実はコレ、大昔に使えていた機能でありました。ESX 2.5 から ESX 3.0 にバージョンアップする際に Upgrade vMotion として利用できたのです。詳細は 以前のエントリ を参照して下さい。

コールド マイグレーションと X-vMotion

これは某所で実際にあった例ですが、仮想マシンを停止した状態でホストとデータストアの移行をするのと、仮想マシンを起動した状態でホストとデータストアの移動 (すなわち X-vMotion) をすると、起動したケースの方が数段速いことがほとんどです。これは、それぞれの場合で仮想ディスクをコピーするときのデータ転送経路が全く異なるために発生します。

仮想マシンが停止した状態でのデータ転送経路は、マネージメント ポートの NFC (ポート 902/903) で行います。一方、仮想マシンが起動した状態でのデータ転送経路はデータストアにアクセスする経路となります。大抵のケースでは マネージメント ポートは 1GbE に接続されており、データストアのアクセスは 10GbE や 4/8/16Gb FC で接続されていますので、この速度差は自明なものではあります。しかし、仮想マシンを停止した際のホストとデータストアの移動もデータストアと同じ経路と思いがちではあるため、「何ぞ?」と思われるのも宜なるかな、といったところです。

VPLEX Metro - 5.5 - 2013

これは新機能と言うよりもエンハンスメントになります。こちらの以下の KB や Blog にあるように、VPLEX と vSphere 5.5 の組み合わせで Latency の制限が 5 ms 以内だったものが 10 ms 以内まで拡張されました。

このあとの IPv6 もそうなのですが、vSphere 5.5 は正味な話 新鮮味に欠けるリリースで、そもそも (うわっなにをす くぁwせdrftgyふじこlp

Metro Cluster (vMSC: vSphere Metro Storage Cluster) は良いソリューションではあるものの、そこまでコストを掛けられるならば Pivotal GemFire などのデータグリッド製品で WAN Replication した方が真に Active-Active でエレガントなシステムになるな〜、などと思ったり思わなかったり。この辺、データセンターレベルのでの Active-Active なシステムは データセンターの外側のルーティングもサーバー以上に検討する必要があるので単純な話ではなかったりします。

IPv6 improvement - 5.5 - 2013

IPv6 での vMotion のパフォーマンスがかなり改善されました。…IPv6 で vSphere を使っている方に余り遭遇しないのですが…。一部には DC すべて IPv6 で運用している顧客も欧州あたりいらっしゃるようなので地味ですが改善がなされています。